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2017年5月16日 (火)

「背すじをピン!と~鹿高競技ダンス部へようこそ~」10巻(最終巻)感想(ネタバレ)。ありがとう、横田卓馬先生!

 ついに最終巻です。気合入れて書きます。 9巻感想同様、物語の進行順に。プレレビュー1・2巻感想3巻感想4巻感想5巻感想6巻感想7巻感想8巻感想9巻感想最終回覚書横田卓馬先生公式サイトスタッフによる公式ツイッター

 表紙

 最後の表紙を飾るのが、成長したつちわたなのは(立派になっちゃって…)順当ですが、カバー下のひらりんに吹いたw。カバー下は背表紙もひらりんと八巻パイセン。仕方ないとは思いますが、普通にひらりんが表紙飾るのも見たかった。
 著者近影で横田先生が「キャラクターたちの人生はこれからも続きますが」と語っておられたのは、「思った通りだ、背すピンにはそういう思想があるんだ」と唸った。登場人物の"これから"が楽しみになるところで終わってますもんね。特に真澄くんと理央さんは。

 本編感想

 STEP81(81話) 閉幕

 競技ダンス全国大会、全ての試合が終わりました。土屋くんの「すっごい 長かったような気がするな~」は作者のセルフツッコミw。
 ラテンダンス決勝戦、結果は…。咲本&永島ペアの優勝でした。畔田&仙崎は準優勝、八巻&椿は3位。客観的に見れば順当と言える結末ですが、八巻も畔田も納得してません。
 準優勝を金龍院に報告する畔田。悔し気な畔田に金龍院、「覚悟」のあり方や「キミはいずれ咲本の王座を奪う男だ」と語って激励。このシーンの貴正、エネルギーを使い果たして痩せてますw。素顔を見たかった女性ファンも多かろう。このくだり、横田先生は「金龍院の台詞クサすぎたかな?」と考えてたそうですが、いえいえ、これで正解です。

 御木とターニャが先に帰ってしまったので、5人で別れをすます一年生連、つちわた、ひらりん、みやかし。つちわたにダメ出しすることを忘れないのが宮大工クオリティw。しかし前大会以上に評価するのも忘れません。
 またひらりんが選手として舞台に立ったのを機に、「『一年生ライングループ』に加えていただきたい!」と表明。彼女には「選手でないうちは交流できない」プライドありました。

 さて八巻と椿、悔しさを引きずってる椿ですが、八巻は切り替えて別の物思いにふけってました。
 回想、試合後咲本たちと話し、「あんたも部長も倒したかった」と直球で気持ちをぶつける八巻。「もう戦う機会はない」と思ってる八巻に咲本は、
 「キミらは"こちら側"にこないのか?」
 と大変なことを言ってしまう。「無責任なこと言うもんじゃないわよ!!」と相方をどつく永島さん。「また市内の大会とかで会おう」と咲本を引っ張って退散(この後、咲本に説教したと思われるw)。
 明らかに「プロにならないのか?」を意味する咲本の問いに、「今まで不思議とそういう発想はなかったが、考えてみてもいいか」と思いはじめる八巻。その場合相方に椿の他を考えては…いなかったと思う。

 帰路を辿る鹿高一同(ここに「こがねいろ」キャラの話が少し絡む)。つちわたの様子を見て「鹿高ダンス部の未来は安泰だ」と綾辻にこぼす土井垣。そして綾辻さん、「カップル解消のことだけど」と切り出すも、土井垣は「そ~~だったかしら~?記憶にないけど~」とかわいくwとぼける土井垣。
 綾辻、居住まいを正し、「たしかに今日…沙羅たちに勝ってスタンダードで優勝できたけど… でもそれはスタンダードだけに全力を注いだからで… いつもみたいに両部門での勝負だったら 正直…勝てたかどうかわからない… 本当に勝ったとは 言えない気がするの…」これに同意する土井垣。なので、「本当にあの二人に勝つまで私はダンスを続けたい だからこれからもよろしくお願いします」と、正式に組存続を了承。土井垣くん、態度に出してませんが、有頂天ですw。

 一コママンガ。
 こがねいろキャラ、巨勢たつやがきなたくんらしき知人と電話してるカット。やはりきなたはみさきに振られてたのか…。劇中の描写で気付いてましたが。

 STEP82 思いをつなぐ

 全国大会のお疲れ会。テレビ番組「金ツバ」の取材が入ってた大会、それをみんなで鑑賞。我らのつちわたがどアップで映ってる。
 会を真澄くんの家でやってるので、土井垣家母が料理でもてなす。出て来たオードブルに食欲爆発のつちわた(特に舌なめずりする土屋くんの顔!www)。いろいろやりとりがある中、土井垣部長から爆弾発言。
 「私たち 今日で引退するから」
 仰天する一同(八巻くんだけは冷静)、引退と言っても、ダンス部やめるのじゃなく、部長ペアはプロダンサー目指すので進学はしない、秋冬も大会あるので部には変わらず来る、でも普通、高校の部活は2学期入ったら3年は引退、我々も部長・副部長職の引き継ぎはしっかりやっておく、というわけで新部長に八巻、新副部長に秋子を指名。
 「まあ順当ですわな」
 確かに順当。八巻は尖がってるようで後輩には優しいし、秋子は仕切りたがりの割りに非常識だしw。
 部長交代の事実に実感わかないつっちーに土井垣くん、
 「私たちが卒業した後はあなたたちが後輩を指導する立場になるんだから」
 「しししし指導!!?」
 思いもよらない大事態が半年後に迫ってると気付き、慌てるつちわた。でも土井垣は何も心配せず、あとの事を後輩たちに託すと宣言。しばらくしてお疲れ会お開き。

 家路に付くダンス部のみなさん、まず注目したいのはひらりん。
 (こりゃあいよいよもってちゃんとした相方がいないとカッコつかないねェ…!)
 「なんだひらりん 俺じゃ不満か?」
 (不満なわけないっすよぉ ただ私じゃ絶対 パイセンの本気は引き出せないってわかってるんで…(八巻と椿のペアを思い起こし) 私じゃ 絶対 パイセンとあんな関係にはなれない だって私は パイセンに優しくしてほしいんだもん)
 すいませんっしたーっ!ひらりんは純粋に八巻へ恋してただけなのに、なんかエロいこと連想した汚れた私を許してー!(でも横田先生、絶対それ意図してましたよね?w)

 妄想はともかく、私が本当に注目したいのはもちろんつちわた。
 「半年後にはもう僕らは二年生…ってことはつまり… あの伝説の…部活紹介デモンストレーションを… 僕らがやることになるということじゃないかあ―――ッ!!」
 お疲れ会以上にあわてまくる土屋くん。でもしかし、賢明なる背すピン読者のみなさんなら、土屋くんのこれはわたりさんの言葉がほしいばかりの"ポーズ"だとおわかりのはずであるw。そしてつっちーと読者の期待に応えてわたりさんはこんな台詞を。
 「でも 土屋くん本当は できるって思ってるんじゃない?」
 初めてジャンプで読んだとき驚きました。まさに書けそうで書けない台詞。横田先生の台詞のセンスを全面的に信頼してる私ですが、それが正しいと裏付けられた。ホントいい言葉。
 わたりさんの励ましが大きいのに改めて感じ入る土屋くん。
 (わたりさんとなら実際 力がわいてくるんだから…!)
 「降りる駅…ついたよ?」
 「えっあっ! 本当だいつのまに!はははは…!」
 相変わらずLOVEがまぶしい男である。

 一コママンガ。
 「オメーらもなんか 手伝えよーい!」
 土井垣家の料理を手伝うと申し入れる女子連に対し、しれっと無視しようとする男子連にひらりんが切れた一幕。このツッコみには安心した。いくら愛してても、めしぐらい作れんと、わたりさんから見限られるぞつっちーw。

 そして83話、背すピンファン誰もが驚愕した展開。

 STEP83 二年後(1)

 まず「二年後」というタイトルに驚いた、次にブラックプール(ダンスフェスティバル)に驚いた、そしてコアな横田ファンは、こがねいろのキャラみさき登場に驚いた、もちろんマスリオの成長に驚いた。どんだけサプライズ上手いんだ横田先生。
 プロ入りたった二年目で世界最高峰に挑むとは、マスリオやはり天才か。そうそう、公式ツイッターさんによると、横田先生曰く、土井垣と綾辻は結婚するかもしれないそうです。「お前らどうせ結婚するだろ!」と思えるカップルたくさんいるマンガですが、一番安心して見られるのはこの二人ですね。恋人止まりで終わりそうなペア多いし、離婚しそうな奴らもいるしw。
 と、ここで永島さんと巨勢先生が初対面。巨勢顧問はもちろん永島を知ってますが、面と向かって会うのは初めて。沙羅さんは巨勢さんを「いい先生」と評します。

 舞台変わって東京都墨田区。咲本に焚きつけられたせいか、八巻と椿もプロデビュー。章くんは一人暮らしを始めてますが、彼女を作っても、ダンスパートナーである秋子との距離が近すぎるため、すぐに諦められてしまう模様。ガンバレ八巻。
 彼らは「伝説のラテンチャンプ」と呼ばれるタツ小竹(モデルとなった人の経歴ものすごい)さんに雇われてます。十年選手の土井垣たちや咲本たちと違い、高校から始めた八巻たちはダンス界の事情に疎い。そんな彼らを拾ったのが小竹さんで…彼の見せ場は後ほど。
 職場は違いますが、同じくプロになった畔田&仙崎、麹町&倉見たちと合同練習に打ち込みます。「先輩の応援にブラックプール行くのか」と聞く麹町に、「いや行かねーよさすがに」と返す八巻。「薄情な後輩だぜ」とからかう畔田に、「情だけでイギリスまで行けるか 金もかかるし ダンスやってる奴がオメーみてーなボンボンばかりじゃねーんだよ」とナイスな切り返し。「俺…ボンボンか…?」「うんだいぶボンボン」という仙崎とのやりとりが楽しいw。
 「それに俺の初渡英は 出場する側として 行きてーんだよ…!!」
 と、闘志満々。だがしかし。

 さて二年後の鹿鳴館高等学校、陸上部で健在なわたりさんの親友・環さん、まだ留年していたw軽音部、そしてお待ちかね、三年生のつちわた+ひらりん。
 おおお…三人とも、背、伸びたな。しかしつっちーがかつて夢に見た、「カッコいい先輩土屋くん」や「巨乳わたりさん」はやはりドリームでしかなかったなw。どころかつっちーの変な言葉Tシャツやわたりさんのブサパンダのセンス、変わってない…w。

 一コママンガ。
 ちかねちゃんの、「あと三周ー」これは残り話数のカウントだったのだ!最終回ジャンプ掲載時、公式ツイッターが「数号前の背すピンにネタバレ載ってますよ!」と言ってたので、探したら見つけて大笑い。横田先生…天っ才…!www

 STEP84 二年後(2)

 この時代ダンス部は土屋くん部長、亘理さん副部長。…能力ではわたりさんのが有能に見えますが、彼女表に立つタイプじゃなく、委縮するところもちょっとある(連載初期のイメージ引きずってるだけですが)ので、つっちーのサポートに回った方がいいか。リーダーは優秀なだけでは務まらないので、土屋くんでいい?
 しかし土屋部長、自分で立てたメニュー忘れるわ、ステップ間違えるわで資質を疑わざるを得ないw。後輩たちも笑う中、
 「おらぁ一年!ヘラヘラしてんじゃねェ――ぞ!!」「あいつら土屋さんのコトなめてますぜ!!」
 連載が続いてたらいいキャラになったはずの、二年生御門くん登場。藤田さんの相方(ひらりんはラテンに転向してる)。明らかに八巻くんの影響受けてる人ですけど、この子、土屋くんのコト最もナメそうな人なのにw、「なめてますぜ!!」とわざわざ言うとは、「土屋さんはナメてはいけない人だ!!」と思わせるなにかが、土屋くんと御門くんの間にあったんでしょう。そのエピソード、是非読みたかったw。

 葉澄・リンデンベルク改め土井垣葉澄コーチ。お察しの通り、離婚しました。そのうっぷん晴らしを全国大会でやろうとしてる。あんまりだw。
 つっちー、わたりさん、ひらりん、彼らは進学する。つまりプロダンサーにはならず、今度の夏の全国大会が引退試合。最後の試合に華を添えるのが私の使命、と葉澄さん。一見立派だけど、動機がなあw。

 舞台転換、イギリス。土井垣&綾辻ペアと咲本&永島ペアが観客の称賛を浴びる(「玄人紳士」てw)。土井垣はまだ緊張してるけど咲本は余裕ある。昔から世界で戦ってた経験の差。
 そして全日本王者・相模原総二郎&大八木桜ペア登場。…ジャンプでここまで威厳無い「全日本チャンプ」を初めて見たんですがw、彼らも活躍の機会あれば、土井垣組や咲本組を圧倒する実力、見せてくれたはずです(咲本組は二位、土井垣組は三位)。ホント「続きが読みたい」いいところで終わらせましたね、横田先生。
 彼らの話は金龍院&神宮寺の話題に。高校最後の冬の大会で戦ったきり、音沙汰なしだそうですが、「サラあいつはダンス中毒だ やめたくてもやめられん」と気にしてない咲本。その上からしっかり観劇している金龍院たち…。このマンガ、メインキャラの「その後」を漏らすことなく伝えてるのも偉すぎる。
 84話ラスト、世界の舞台で「つちわたブースト」を決めようと企む土井垣。そしてモノローグで、(競技ダンス部を創設したのは リオのためでもあった)と、とても口に出せないであろうコトをつぶやいた。…やっぱりキミ"も"そういう動機でダンスやってたんだねえw。

 STEP 85 二年後(3)

 もちろん、花園亮&御木恵実のその後も描かれてる。なんとプロになっていたゾノめぐ、八巻たち同様、海外の大会に出るチャンス、「海外派遣選考会」に挑む。
 八巻たちの今が見られるかもと、番組「金ツバ」を観る、鹿高ダンス部。前部長の八巻をつい「部長」と読んでしまう御門くん、しかし土屋部長はそれに共感する。「僕たちにとっての土井垣部長とリオ先輩みたいなものだからな」と。
 麹町言うに、「強豪がゾロゾロ揃っている」(大意)対して八巻、「ていうか関係ねーよ どーせこの場にいる全員に勝たなきゃ海外へ行けねーんだ 相手が誰だろうと関係ねーよ」自信満々。しかし畔田、八巻の認識が甘いのを見抜いてましたね。

 八巻&椿、一次予選、ギリギリ通過。その時点でも現実を直視してない彼ら、二次予選で惨敗を喫する。タツ小竹、満を持して(笑)八巻たちを「100年早い」と叱責する。
 よく読むと、小竹の説教、非常に興味深い。まず椿たちの、実力や技術のなさはそれほど問題にせず、「心がまえの話だ」と余りにも見積もりが甘すぎたのを叱っている。
 「センスと身体能力だけで戦えてた(あ、やっぱりそうだったのか)学生の競技会と一緒にするな」「プロってのはダンスに人生の全てを賭けてる(あ、やっぱりそーゆーモンなのかw)奴らなんだよ」と。
 小竹さん、多分、若い頃は八巻みたいなもんだったんだろーなー…w。

 しかし前部長ペアが偉いのは、後輩に結果報告する際、敗北や叱られた悔しさなどおくびにも出さず、全国大会に挑む土屋たちを励ます、このあたり前部長としての責務を果たしました(この行事を決めた土井垣たちがそこまで考えていたらスゴいな…)。

 LAST STEP(最終回) 私からキミへ

 ジャンプ読んでた頃、事前に「今回最終回だ」と知ってたので、寂しい気持ちでいたら…。まさか、わたりさんの視点で語られ、しかも第1話を振り返るとは思わなかった!心して読みました。
 勇気を出してダンス部の体験入部に来たわたりさん。しかし周りを見れば男子ばかりで自分は場違い、一人で来たのを後悔していた。ふと土屋くんがいることに気づく。その頃は「土屋」という名前も知らなかったが、新歓のときぶつかった子だと覚えていた。そこに部長の野太い声が響く。回想おしまい。
 早起きしたので散歩するわたりさん。彼女は土屋くんと公園で練習したのも思い起こす。
 (そういえば毎日一緒に練習したなあ 夜中の公園で でも今考えると夜中の公園って危ないな… やってる子がいたら注意しなくちゃ…!)
 それは当時読んでて思ってた。わたりさんも土屋くんも小さいので、危ないなと。

 入部したばかりの頃、土屋くんはわたりさんによくこう言ってたらしい。
 「わたりさんすごいよね…!すごい頑張るよね…!鬼だ鬼…!練習の鬼…!いやあー僕も見習わんといかんね…!」
 わたりさんに言わせれば、試合を前に緊張していて、不安で、必死だっただけだと。そして本当にすごいのは土屋くんだとモノローグで語ります。それは肝心な話なので、後で。

 同じく早起きしてたのでランニングやってたらしい土屋くん。会話でつっちーが全然受験勉強してないのがわかって、わたりさん少し呆れますが、彼女にとって彼の価値はそんなところにありません。その後ひらりんに「朝二人でなにしてたの?」と聞かれ、「散歩してただけ」と答えるわたりさん。ひらりんのリアクション、
 「そうだろうね!」
 …大笑い。つちわたは深い仲に、一切なってないとわかってしまうw。あいつららしいがw。

 二年前、真澄くんと理央さんが優勝した駒沢オリンピック公園へ久しぶりに来た三年生連。ここで御木くん&ターニャさんと再会。ふたりは三年間ロシアで修行しており、御木くん最初ロシア語でまくし立ててつっちーを驚かせる。ターニャは日本語が上達してた。みきタニャもつちわたと同じく、背が伸びた。
 そしてこの世代の絶対王者となってる宮大工&柏。インタビューでも相変わらずな態度の宮大工くん。柏さんのフォローが涙ぐましいw。宮大工は久しぶりにみきタニャと戦えるの楽しみにしてた。またつちわたにも変わらず一目置いてる。
 試合に臨む鹿高ダンス部。後輩の朝木さんを気遣う御門くんええやっちゃ。穏やかな土屋部長と激しい御門くんで上手くバランス取れてんでしょう。
 円陣を組んで目標を語り合う。つっちー、こんなときくらい「目標は優勝!」と言おうよw。そこが彼のよさだけど。一同で優勝掲げてるのは御門くんだけ。八巻イズムを継いでる。
 物語のシメを飾るのは…なんと玄人おじさんw。「私は三年間彼らを見てきたがね いい踊り手になったと思うよホントに…!」ちょ、彼に言わせるのは反則だ!w

 わたりさんモノローグ。(たまに「このひと大丈夫なんだろうか?」と思うところもあるけど でも 素直に他人に敬意を示せるひと 優しいひと 困ってる人に手をさしのべられるひと 誠実なひと そばにいて支えてくれるって約束を守ってくれたひと)このあたりは「ひと」とひらがな表記されてるのがミソです。
 (いろんな思いがあるけれど 伝えたいのはやっぱりシンプルにこの言葉 あの時誘ってくれて あの時助けてくれて あの時 あの時)そして劇中最後の台詞。
 「ありがとう」 
 「好きだよ」でも「愛してる」でもなく、感謝。物足りなく思うのも事実ですが、実に背すピンらしい終わり方。一見ラブコメみたいで実はそうでないのが、背すピンというマンガですから。

 描き下ろしスタッフロール

 つちわたのラストダンス。ルーキーの朝木さんと彼女を支える御門くん、それを見守るひらりん。ライバルたちのみきタニャ、みやかし。素晴らしいフィナーレでした。

 読み切りマンガ「競技ダンス部へようこそ」(背すピンのプロトタイプ、オリジン作品)

 このマンガを長いこと読みたかったんだーっ!!!\(^o^)/
 いやね、横田先生の作品で初めて読んだのがこれでして、ジャンプに初めて載ったとき、私、「この作者、新人離れしてて、タダモンじゃない!いずれ大物になるぞ!」確信し、普通なら切り抜いておくところ、「いや、この人、きっと世に名を轟かせる。ならばいずれ本が出て『ダンス部』も収録されるに違いない、それを楽しみにして、あえて切り抜かず、本になるのを楽しみに待とう」と、かなり作り話めいたw、我ながら普通じゃない発想をしたんです。本作はそれほどの衝撃でした。

 今の目で読むと、画力はいくらなんでも、今より拙く見える。しかし構成力は当時から完璧。キャラクターも、ダンス部初期メンバー6人の原型はほぼ出来上がってて、完成度高い。しかしこの頃のつちわたはガタイ良かったんだな。ちゃんと高校生に見えるぞw。つっちーがわたりさん(「つっちー」「わたりさん」言う素晴らしいセンスの愛称も読み切りからありました)とタメ口で話すのを意識してるのも新鮮。土屋くんが先輩女子と踊って○起してしまうのも、当時からスゴいセンスだと思ったもんですw。つっちーは昔からお調子者だった(「昇り竜土屋」はどうかと思うぞ、土屋くんw)。そして土屋くんのわたりさんLOVEも、当時から健在だった。

 考察・物語をリードした三人の主人公

 シメにちょっと考えたこと書きます。大したことは書けませんが、個人的に語りたいので(10巻感想とは別立てのエントリで語ろかと思いましたが、そうしたら、誰も読まんからなw)。

 まず一人目の主人公は、もちろん我らが土屋雅春くんです。彼を私なりに一言で表すなら、「平凡にして非凡なる主人公」。
 彼について劇中で強調され、ネットでもよく語られる彼の平凡さ。学力も体力も十人並みで、美少年でもなければ、聖人君子でもない。
 ジャンプでこういう主人公は、天才的な先輩やライバルに引きずられる形で、猛特訓や奇跡のような偶然に恵まれ、高校生屈指のトップアスリートへと成長する…。というのがよくありがちなのですが、土屋くんはそうではなかった。3年生で部長になっても、土井垣には及ぶべくもなく、八巻にも敵わず、ごく普通の選手であり続けた。
 しかしそこが共感を呼んだ。今までジャンプスポーツマンガの主人公は、あまりに超人であり過ぎた。それは憧れはかき立てても、親近感にはつながらない。例えばわたりさんのがんばりを見て、「こりゃあハッシュドポテト食ってる場合じゃねェ…!」と思い切ろうしても、結局食ってしまう(笑)。これはいかにも「俺」がやりそうなことだ、と思った読者、多いと思う。等身大そのものの主人公。

 だけど、だけどなんです。ただ平凡なだけの少年が主人公張れるほど、ジャンプというフィールドは甘い場所ではない。つっちーの非凡さが光るのは例えば1巻の、
 「わたりさんっ… わたりさ――んっ わたりさんっ あっごめん…いやっ…えと わたりさんさ… ダンス部入った方がいいよ…! 入ろうよ…!一緒に…!(中略)わたりさんに『明日も一緒に行こう』って誘われた時にッ 僕も…っちょっとダンスやってみたいって思ったから…!! …だから… あの… ごめんめちゃくちゃで… 一緒にダンス部… 入り…ません…か…」
 このくだり、全文引用しようとしましたが、長すぎるので断念しましたw。これ、背すピンというマンガの中で、一番肝心な台詞と思うんです、土屋くんの熱弁。だって、いくら好きになり始めた娘が相手でも、普通の男子高校生はここまで言えませんよ、「ちょっとだけの勇気」では。
 土屋くんの非凡な点、それは「人の良さ」。もちろん「なにもかも許す!」「すべてを救ってみせる!」なんて柄ではなく、ちゃんと努力家であったり(そこはジャンプのイデオロギーに恥じない)、わたりさんに「愛の告白」としか思えない言葉をかけて励ましたり、連載後期の話なら、部長ペアの優勝を我がことのように嬉し泣きしたり(そのフリとして「涙をとっておいた」のも忘れてはならない)、「普通の男子はこんなに出来てない」と思わせる人間。
 行動原理が基本「わたりさんのため」なのは共感と憧れを同時に生む。共感は説明不要でしょうが、好きな女のためとはいえ、「俺はここまでできない!(できなかった)」と男子読者に思わせる土屋くんのアクティブさ。真似できる男ほとんどいない。
 要するに、愛は偉大だということで(陳腐すぎる結論w)。

 二人目の主人公は、亘理英里さん。そもそも「ヒロイン」とは本来「女性主人公」の意ですから!
 主人公に推す最大の理由は、かわいいから!…は流石に半分冗談で(半分本気かよw)、まず女性キャラクター代表の意味があります。
 ご存知の通り、背すピンとは基本男性目線で描かれたマンガで、土屋くんや土井垣くん、八巻くんら男性キャラの活躍メインでストーリーが進みます。
 しかし、これも熱心な背すピンファンならわかるでしょうが、女性キャラの活躍もとても印象的な作品です。
 つーか、ハッキリ言ってしまえば、つっちーも部長も宮大工くんも御木くんも、わたりさんや理央先輩、柏さん、ターニャさんたち、パートナーがいなければ何も出来ないであろうダメ男ばかりでw。ほとんどのダンサー男子は女子に依存し切ってますw。唯一の例外は八巻くんで、彼だけは秋子さんに依存してません。それを思うとひらりんは、椿に頼り切らず、そしてひらりんの支えになってくれる、そういう孤高たる自立心を持ってる、八巻がそんな男性だからひらりんは彼に惚れたのか、なんてことを今更になって気づいたり。おおっと脱線失礼。
 むしろよく読むとこの作品、「男女平等」の理念がちゃんとバックボーンとしてあるマンガだとわかります。82話の一コマ、家事手伝わない男子たちをひらりんがしばいたのは心底安心しました。「男性優位」な発想は全然ない。

 わたりさん個人を語ると、最終回、彼女の内心を見て気付いてしまった。「わたりさん、つっちーに抱いてる想いは、尊敬や感謝であって、愛情や異性としての好意ではなさそうだぞ…」と。うわーこれはわかりたくなかった!w
 だけど最終回からは精神的成長も感じる。連載初期のわたりさんって、頼りなげで儚げで、実際最初の試合でしゃがみ込み泣いてしまうとの脆さを見せる。でも彼女は恥を知ってる女だった。
 トラウマから立ち直れたのは土屋くんのおかげには違いない。しかし決して土屋くんに依存せず、自分の力で「強く」なるのを彼女はやってのけた。全国大会ではトラウマ完全克服し、むしろつっちーより頼り甲斐ある。現実の我々が見習いたい姿勢ですらある。
 まあ、なにより、人気No.1キャラですから!(安易すぎる理由w)

 最後の主人公は、土井垣真澄くん。私が見た彼のコンセプトは、土屋くんと真逆で、つまり「天才少年も、素顔は普通の少年だった」。
 彼は初登場からインパクト大でしたが、出オチ的キャラかと思えばさにあらず、かなり早くから、「この人、天才のレベルじゃね?」と思わせる風格を漂わせてた。
 綾辻さんとセットで、大人びたものわかりのいい態度を一年生にも二年生にも示し、師匠的存在感を示した。しかしその裏で、「出来過ぎた子だな…彼もまだ、17歳くらいの少年に過ぎないのに」との違和感もあった。そして、綾辻さんのペア解消宣言で、「いくらなんでも、土井垣くん我を出すはずだ…こんなことに納得するわけがない」と思い、むしろ彼がどういう形で素を見せるのか楽しみでしたw。

 普通人を貫いた土屋くんとは逆に彼は超人担当で、ジャンプの主人公ではむしろ土井垣くんみたいなキャラが一般的です。無論努力も怠りなく、ダンス部とは別に、綾辻さんと専用の練習場を持ってます(ボンボンめ)。しかし土井垣くんの面白さってそこではない。
 彼の本領はやはり、パートナーの綾辻さんが覚醒して(三人目の主人公は理央さんを推すべきか、とも悩みましたが無理があると判断)、選手として真価を発揮するとともに、人間としては歳相応の少年として素顔を見せる、こういうキャラはジャンプに限らなくてもなかなかいないので、新鮮でした。
 彼が「わがまま」を言いだしてからの理央さんとの夫婦喧嘩は最高。説明するの野暮なので、もう一度8巻をじっくり読み返してくださいw。背すピンは彼と綾辻さんの物語でもある。
 つまり、ジャンプに於いて勝者は正義なのだ!(さっきからオチが無理矢理過ぎない?w)

 なんとか書き終えた。文も掛けた時間も当ブログ最長エントリでした。やれやれ、これでもう背すピンの感想書かなくてすむ(最後に、トンデモない本音を!wwwwwしゅ、趣味でブログ書くのも楽じゃないんです!w)。横田先生の次回作に期待してます!

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コメント

長文乙。
僕も既に読了しているんですが、ようやく今週末レビューできそうです。先にIvanさんの感想読むとそれに引きずられちゃいそうなので、こちらのレビュー書き上げてから読ませて頂こうと思います!そして語りましょう。

投稿: yukkun20 | 2017年5月20日 (土) 00時43分

 期待してます!

投稿: Ivan | 2017年5月20日 (土) 23時05分

先ほどレビュー僕も書いてきました。
> 彼女には「選手でないうちは交流できない」プライドありました。
この後の打ち上げ後のシーンでもそうなんですけど、彼女も彼女なりに誇りを持ってこの競技に取り組んでるんですよね。単なる賑やかしじゃないところが魅力。

> だって私は パイセンに優しくしてほしいんだもん
その後自分で「なんつって…」と感情をごまかしているところがまた…

> まだ留年していたw軽音部
そこに気づくとは…やはり天才か。すっかり忘れてましたwそういえばそんなキャラいましたね。

> 「土屋さんはナメてはいけない人だ!!」と思わせるなにかが、土屋くんと御門くんの間にあったんでしょう。
このエピソード僕も気になります。てっきり土屋くんのダンス技術に心酔してるのかと思いましたけど、その後読むとそうじゃないみたいですし。

> このマンガを長いこと読みたかったんだーっ!!!\(^o^)/
よかったですよね。当時Ivanさんがベタほめだったのは確かに覚えてますよ!しかし読み直すと読み切りとは思えない内容の濃さですね。連載開始までかなり空きましたけど、待ってて良かったですね。

> 要するに、愛は偉大だということで
つっちーが主人公として輝くのは、いつも亘理さんのためでしたからね。僕はやっぱり文化祭の時のやり取りが心に残っています。

> こういうキャラはジャンプに限らなくてもなかなかいないので、新鮮でした。
大体少年漫画の主人公は師を乗り越えていくのが普通ですからね。でも彼自身にも強大なライバルが設定されていて、女性のことで葛藤して、確かに主役としての姿がありましたね。

2年弱という短い間でしたけど、本当に楽しませてもらいました。ジャンプデビュー作がこれだと次回作はなかなか大変だと思いますけど、早くジャンプに戻ってくれるとうれしいですね。

投稿: yukkun20 | 2017年5月20日 (土) 23時57分

>先ほどレビュー僕も書いてきました
 乙です。
>彼女も彼女なりに誇りを持ってこの競技に取り組んでるんですよね。単なる賑やかしじゃないところが魅力
 藤田さんも、真剣にダンスへ取り組んでたのが好感度大。特に全国大会はデビュー戦でしたし。

>その後自分で「なんつって…」と感情をごまかしているところがまた…
 ふざけた書き方しましたが、彼女は恋にも真剣でしたね。10巻はひらりんの株上がった。

>すっかり忘れてましたwそういえばそんなキャラいましたね
 ダンス部のために一肌脱いでくれたキャラが健在だったのは安心ですが、事情は褒められませんw。

>てっきり土屋くんのダンス技術に心酔してるのかと思いましたけど、その後読むとそうじゃないみたいですし
 彼はむしろ八巻パイセンに心酔してたので、なぜつっちーを認めるようになったのか興味深い。

>しかし読み直すと読み切りとは思えない内容の濃さですね
 思うと最終巻に載せたのは正解だったかもしれません。

>僕はやっぱり文化祭の時のやり取りが心に残っています
 一番つっちーの愛がこもったシーンでしょう。

>彼自身にも強大なライバルが設定されていて、女性のことで葛藤して、確かに主役としての姿がありましたね
 ほとんどのペアがヒーローとヒロインで、男女ともにライバルもちゃんといると今気づきました。横田先生が「全てのキャラを主人公として描いてる」発言に偽りなかった。

>2年弱という短い間でしたけど、本当に楽しませてもらいました
 2年弱、ジャンプで最も面白い連載でした。今のジャンプだいぶ魅力減ってしまいました。読み続けてますが。ジャンプをまた盛り上げるためにカムバック!

投稿: Ivan | 2017年5月21日 (日) 01時10分

> 横田先生が「全てのキャラを主人公として描いてる」発言に偽りなかった。
本当に、それぞれのキャラにそれぞれの人生があり、見せ場があるというのを強く感じさせられたマンガでした。

> 今のジャンプだいぶ魅力減ってしまいました。
僕も読まない漫画が増えてきました。まだまだがんばってほしいんですけどね。

投稿: yukkun20 | 2017年5月22日 (月) 01時06分

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