大逆転裁判、感想（警告 激ネタバレ）

　まずはこのゲームを遊んだ方ならほとんどの人が思うこと。

　これ、続編作らんわけにいかないだろ！（笑）

　ゲームクリアしても投げっ放しの謎や伏線がてんこ盛り。１話の真犯人・ジェゼールは何者だったのか、亜双義の刀が「狩魔」という銘だったのはどういうことか、バンジークスが日本人を憎む理由、何よりラストでの意味深過ぎるモールス信号、多すぎて箇条書きにしたら何行書くかわからんw。
　幸い最後のDLCでディレクター巧さんが「続編でお会いしましょう」的なこと書いてくれたので続編あると信じますが…。なかったら暴動起こりますよ？w 「この作品だけでは完結しない」と事前にアナウンスしてほしかった。

　今回もキャラクターについて書きます。それが私のスタイルになってるので。

　成歩堂龍ノ介（弁護士・１話被告・２話容疑者）

　「目が泳ぎ過ぎる」とはこんなに不審な印象を他人に与えるものなのか！私も泳ぎがちなのでw気を付けよう。
　初めての倫敦に衝撃を受ける描写はリアリティあると思う。誇張はあるが、当時（1900年のはず。異説あり、後述）日本人にとって倫敦は凄まじいインパクトがある都市だったと考える。現在の基準で量ってはいけない。
　「若者の成長物語」としては今までの逆転で一番上手く行ってる。成歩堂龍一は割と早く法廷に馴染むし、御剣は最初からある程度完成された検事。王泥喜はあまり成長していない、そんな主人公の皆さんの中で龍ノ介は成長してるなと。弁護士になって亜双義の遺志を継ぐとヴォルテックスに言ったくだりで、
　龍ノ介「もちろん…ただの"思い上がり"なのはわかっています」
　はカッコよかった。英国入りしたばかりでは「バンジークスが強い」より「龍ノ介が弱い」印象あるけど、徐々に変わって行く。初めは「ぺち」wwwだったのに。

　御琴羽寿沙都

　ヒロインとしての魅力はハッキリ言ってイマイチ。第一印象が悪かった人物その一。
　声優が花澤香菜さんだと長い事気付いてなかったのは不覚でした…。「サクラ大戦」っぽいテーマ曲を持つキャラその一。
　「寿沙都投げ」「寿沙都落とし」を入れたのは格闘ゲームみたいでカプコンっぽい。「ハシゴとキャタツ」の次は「スコップとシャベル」ですか、巧さんw。

　シャーロック・ホームズ

　最も楽しかったキャラ。しかし第一印象が悪かった人物その二。イケメンライバル枠その一。
　世界に名が轟く名探偵でありながら、奇行多すぎ、推理ズレ過ぎwww。背景グラにへばり付いたり引っ掛かったりしてる彼を見つけるのが楽しくてしょうがない。
　「ひょっとしたら天才ではなくアホの子なのでは！？」と疑いたくもなりますが、やはり天才だと思う。言うなれば「超ホームズ」wwwww。
　彼と龍ノ介の「共同推理」は面白い。相手の目線の変化を見逃さないホームズは流石。このシステムのテーマは「目線」ですね。しかし、再プレイ時はテンポ悪いと感じてしまう。
　「被告を信じる」ことに龍ノ介が葛藤してるところに、「誰かを信じることは自分を信じることだ、信じた奴に裏切られたら自分の見る目がなかっただけ」と諭したのには感動した。「自分を信じる」のは当たり前だけど「見る目がなかっただけ」という割り切りは龍ノ介にとっていい教えとなった。
　ホームズの生年が原作の設定で1854年生まれで、今作の彼は34歳なので舞台となる年は1888年説があります。しかしこの説はあまり支持されてなく、有力な説は…後述の「夏目漱石」の項参照。

　アイリス・ワトソン

　どんだけ天才少女なの、この娘w。ホームズより頭いいんじゃね？（それは暗黙の了解）
　ホームズの推理はいつも核心を付いてても、着眼点がズレてるので、修正が必要なのです。今作でいつも龍ノ介が修正してますけど、今まではアイリスが修正してたんだろな。
　しかし春美、幼少美雲、幼少心音、アイリスと皆さん親の事でひどい目に遭ってますが、逆転は幼い少女に恨みでもあんの？www

　亜双義一真（弁護士）

　裏切りフラグかと思ったら死亡フラグだったあ！イケメンライバル枠その二。「サクラ大戦」っぽいテーマ曲を持つキャラその二。
　出番少なかったのに人気は断トツ。御剣＋千尋さんポジションだからなあ。彼もいずれ霊媒で蘇るのでしょうか。英国で「やるべきこと」があったらしい。
　御剣と何らかの関連あるとしか思えない。「もとより」言うし…。風がないのにハタハタはためく鉢巻きにツッコんではいけないw。

　バロック・バンジークス（検事）

　いい人なのか悪い人なのかイマイチつかめてないキャラ。かつて日本人に裏切られたらしいが…。イケメンライバル枠その三…って、イケメン枠多すぎないか！？w
　「聖杯」（実は酒ではない）を法廷であおるのもツッコみどころですが、何より足を星飛雄馬の如く（笑）グワッと上げてバーンと壇にかかと落とし、あれにはやられました。モーションアクターは（元？）宝塚の方なんですね。言われてみれば。

　亜内武土（検事）

　もはや亜内一族は成歩堂一族にとって永遠の咬ませ犬w。最後の髪型が、まさか逆裁４とシンクロするとはwwwww。

　ハート・ヴォルテックス（判事）

　巨悪の臭いがあまりにもプンプンするのですがっ！！ミスリード？

　ジェゼール・ブレット（１話真犯人）

　犯人だと明らかになったけど、日本と英国の条約によって裁きを免れ、帰国したと思われる謎だらけの人物。殺したのはアイリスの父でホームズの相棒だったジョン・H・ワトソンだったので重要なのですが、動機は一切明かされず。続編での決着、期待してますよ。

　ニコミナ・ボルシビッチ（２話真犯人）

　「こんなかわいい娘が殺人犯のはずない！」と信じたかったです。女性キャラでは私イチオシ。全国の亜双義ファンの恨みを買ってるキャラですが…。かんにんやーー！！しかたなかったんやーーーーー！！！（なぜに横島忠夫）

　コゼニー・メグンダル（３話被告にして真犯人）

　もっと極悪な真犯人ならシリーズで他に何人もいますが、「クズ」という表現がここまで似合う犯人はいなかった。今までの最クズは大都楼だったが…（こいつも被告にして犯人）。むしろ清々しささえ感じるクズっぷり。
　だからと言って死んでよかったと思ってはいかんのだが、ザマを見ろと思った人も多かろう（私は違うよ）。

　夏目漱石（４話被告）

　今回一番好きなキャラ。つい「吾輩は猫である」を実際に買ってしまったほどw（その前にTVで漱石の番組やってたからでもありますが）。
　私はあまり国にこだわる考え方をしないのですが、遠い異国で母語が通じずひとりぼっち、そんな中、無実の罪で逮捕され、異国語で心ない言葉を浴びせられる（漱石は英語をマスターしている。つまりどんな罵詈雑言も理解している）、こんな状況で同国人の弁護士が手を差しのべてくれたら、「祖　国　万　歳　！」と言いたくもなりますね。
　「四字熟語ポージング」が想像をはるかに超えてハマってた。ドラゴンボールの「ギニュー特戦隊」のポーズにそっくりw。
　漱石「私があの時やるべきことは、逃げるのではなく、医者を呼び、警察に通報することでした」と自分の不始末を詫びる場面は潔い。
　あとこのゲームで漱石は33歳なんですが、丁度その年代に史実の漱石も英国に留学してます。となるとこの作品の舞台となる年代は…1900年。そう考えても矛盾だらけの歴史考証ですが、逆転らしいと言えばらしい（笑）。とりあえず「19世紀末」と劇中で言われてるのと合ってるのでいいかw。
　龍ノ介が「助けられてよかった」と心から思えた初めての被告でしょう。１話・２話で疑われたの自分だし、３話は被告の正体になんとなく気付いてたし。
　実在の漱石が「I Love You」を「月が綺麗ですね」と訳したとの逸話、信じます。

　ジョーン・ガリデブ（４話真犯人）

　まあ、殺人じゃなく傷害事件だし、故意ではなく過失だし、大した罪にはならないのではないでしょうか。むしろ４話、被害者についてほとんどわからなかったのが伏線の香り。ホームズの原作に「ガリデブ」との人名が出て来るので、「じゃあガリとデブの夫妻を出そう！」と思い付いた巧さんのハイセンス万歳www。

　ジーナ・レストレード（５話被告・３話証人）

　「こんなかわいい娘が殺人犯のはずない！」と信じてよかったですw。弾込め段取りの悪さ萌え。

　ルバート・クログレイ（５話真犯人）

　ラスボスですが根っからの悪人とは言えない人です…。メグンダルを殺したのには同情の余地がありますが、ハッチさんを殺害したのは一切正当化できません。
　ニコミナさんやジーナさんもそうなのですが、ブロンドは得だな。漱石さんとは別のベクトルでモーションのスゴいキャラw。

　ティンピラー兄弟（５話証人たち）

　ジーナの次に好きな証人なので取り上げます。ハイタッチが最後の１回しか成功しないのが…wwwww。クログレイと意外に仲がいいのは好感。

　裁判長

　いつもの裁判長と違ってボケじゃない！wまあ、いつもの裁判長の方がおかしいのですがww（アレは現実にいたら殴られるレベル）。
　ただ、一つツッコみたいのですが、５話でメグンダルへの無罪判決が誤審だったことが明らかになります。そこで、無罪を主張した龍ノ介、脅されて偽証したジーナに「ペナルティがあります」と言うのですが、結論として無罪判決を下したあなたに何の責任もないとは言えないと思うのですが…。それにジーナは罰せられましたが、龍ノ介への罰がうやむやになってるのもスッキリしない…（龍ノ介は「いかなるペナルティも覚悟してます」言うてたのに…）。

　陪審員のみなさん

　かなりムカついた。みんな陪審の責任をもって評決出してるとは思えないぞ…。

　総評

　ここまで不満点の多い「逆転裁判」をプレイするのは初めてですねー（汗）。駄作ではないのですが（つまらないんじゃない）。
　個人的には「レイトン教授VS逆転裁判」の続編とも感じられます。ディレクターの巧さんだけじゃなくキャラデザ、音楽のスタッフも被ってるし、なによりイギリスが舞台なのはレイ逆の物語を踏まえて（システムも共通項多し）作られたように思えます（パッケージのデザインも似てる）。

　折角の豪華声優陣なのに、ボイス演出がほとんどないのはおかしい。逆裁５を見習ってほしかった（５と大逆転はスタッフがほとんど違うので）。アイリスってしゃべったっけー！？
　青地に白い光のカットインがなくなってるのも残念。下画面のカットインも残してもらいたかった。
　音楽は良かったですけど、逆転で最も盛り上がる「追求」（今回の曲名は「大逆転のとき」）をもっと多用していただきたかった！クライマックスでかかる曲ですが、一度も使われなかったエピソード、あったと思う（でも話の内容を考えると、２話や３話では使いにくかったか）。
　あと何気に飯テロな作品でした。

　でも逆転やってると凡百の推理マンガ、アニメがいかに子供だましかがわかりますねー。普通の推理物で毎回ここまで主人公が追いつめられるの、ないもんな。ぶっちゃけ私が言いたいのはコ おや、誰か来たようだ。
　今までの逆転のセオリーを崩そうとの心意気は感じます。それが上手く行ってるポイントもある。レイ逆や５から学んでる点も多々ある。しかしこぼれ落ちてしまったモノも少なくなかったので残念です。

　10点満点で採点するなら8点。厳しいこと書きましたが及第点は行ってます。何よりスタッフがキャラに助けられるのは、このシリーズの伝統ですねw（当ブログ最長エントリになったかも…）。