アニメ最終回(「昭和元禄落語心中」のネタバレあり)
先週、「来週、『落語心中』と『だがしかし』を語ります」と言ってたのをすっかり忘れてました。このくらいの約束は果たさねば。
昭和元禄落語心中(最終回)
わかっていたことですが、二代目助六とみよ吉は死んでしまいました…。原作者雲田先生も辛かったようで、ツイッターで心情を吐露してました。
「八雲と助六編」における主人公、菊比古は「どうでもいい人間ばかり周囲に集まって、大切な人はどんどん去ってゆく」人生に投げやりになってるようにも感じます。助六とみよ吉の娘、小夏を引き取るのですが、菊比古は小夏にけっこう冷たく当たります。大切な存在だった両親を思い出させて、菊比古にとっては辛い想いを蘇らせてしまう(助六たちとの思い出は、菊比古にとっていいものばかりではありませんでした)娘だったのかもしれません。菊比古、子供を持てるほど器のデカい男ではないし(笑)。
菊比古が若かった時代、すでに落語は衰退に向かう娯楽でありました。「伝統文化としての落語を守っていくのがお前の仕事で、新しい時代の落語を切り拓くのが俺の仕事だ」と助六に言われていた菊比古、その助六が亡くなったことで、落語の未来に絶望したのでしょう。彼は八代目八雲を襲名します。もう継ぐ者のない「八雲」の名とともに落語を自ら葬ろうと腹で決めてしまいます。菊比古改め八雲の「(親からつけられた)本当の名前など、とうに忘れました」の台詞で「八雲と助六編」は閉められます。
さて、物語はここで完結しません。序章「与太郎放浪編」の続きに戻り、新章「助六再び編」で時代は昭和の終わりあたり(だよね?)に再び進みます。真打昇進が内定した本来の主人公である与太郎、舞い上がっているところ、小夏から彼女が妊娠しており、産むつもりだと告げられます。
別に与太郎と小夏はそういう関係ではなく、腹の子も与太郎の子ではないのですが、小夏は身籠った事情も、父親の名前すら周囲に明かしません。それを見かねた与太郎、「俺がその子の父親になる!」「夫婦なんてくっついちまえばどうにかなるもんじゃねえのかい?」と師匠とは大違いの(笑)器のデカさでめおとになろうと小夏に迫ります。
一方八雲は先代八雲の墓参りに赴いてました。一緒に来ていた松田さん(先代から、八雲と助六の面倒を見ている男性)と小夏や与太郎の話をします。そして助六の亡霊と邂逅します。
八雲師匠、心の底では小夏の境遇や落語界の現状について、助六に深い負い目を持っていたのが明かされます。ここで八雲が助六に言ったことは完全に「懺悔」です。しかし助六は友になにも告げずに八雲の前から去ります。
そこに与太郎も七代目の墓参に現れます。他愛もない会話を交わした後で与太郎は八雲を仰天させる申し出、願います。
与太郎「助六を、継がせて下さい」
ここまでやって、本当の最終回になる訳、ないでしょう。第二シリーズの制作が告知されます。
いやー、切ない噺でしたねー。私、落語を全くと言っていいくらい知らないのですが、引き込まれるアニメでした。石田さんと山寺さんの演技も確かな代物だったと感じてる(関智さんの出番は、むしろこれからなので評価は保留)。
大人が見ても見応えある、陳腐な言い方ですが本格派の人間ドラマでした。八雲と助六の友情もジャンプ的なノリではなく、衝突、葛藤と痛み(トラウマ)、そして喪失をしっかり描いてて、安っぽくなってなかったと感じてます。雲田先生、スタッフ様、キャスト様、ありがとうございます!二期も楽しみにしてます!
だがしかし(最終回)
すみません、約束守れません。これは語れない。一話完結のギャグアニメを語れる言葉が、私にはありません。ギャグマンガの言語化ってもともと難しいし。コトヤマ先生、申し訳ない。
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