「ドラゴンクエスト 蒼天のソウラ」8巻感想(ネタバレ)
ソウラを扱うのは初めてです。傑作なんですが(海賊編は本当に涙した)、今まで語りそこねてました。
作品名にナンバーは付いてませんが、ドラゴンクエスト10のコミカライズです。でも、DQ10をプレイしてない人も楽しめるマンガ。「ダイの大冒険」の後継ぎと期待する作品です。公式サイト。
8巻序盤の展開はヒューザ、ソーミャ、キャット・リベリオと、ドラクエ10原作に登場したキャラを中心に回りますが、個人的にここらはそれほど重要じゃない(すみません)。ヒロインのアズリアがマルチナ(もう一人のヒロイン。通称ちなちな)にぶっ飛ばされるのが笑えた。マトモに扱ってもらえてよかったな、ソーミャ(彼女の不遇振りはこちら参照w)。
そして、主人公のソウラは故郷、ルシナ村に帰ります。彼の家族や友人は心身ともになかなかたくましい方々。アズは「こういう人達に囲まれたからソウラは大きくなったんだ」と納得します。またソウラとライバルの魔族・イシュマリクには五百年の因縁があるのが明らかに。
それと、ソウラの親友セスリと従妹のミトナが結婚すると知って、ソウラ、「お兄さんは許しませんよ!!」態度にw。で、セスリにシェルナー(仲人)を頼まれます。
ソウラはニューウェポンをゲット。ちなちなの回想シーンありますが、「正ヒロインはマルチナだろ?」wと言いたくなるほどちながソウラを想ってるのがわかります(人気もアズリアよりマルチナの方が高い)(追記・少し修正。アズよりちなの人気高い言うのも主観入ってるので注意)。
ここでなぜか、アズリア、マルチナ、ミトナ、うりぽ、ソーミャのガールズトーク始まりますがw、アズが「結婚」の意味を理解してないのが判明。アズリアは生まれて数ヶ月の人(外見は15、16歳)なので、無理もない。マルチナの説明で「命をつないでいく行為」とはわかりますが、「でもどうして結婚したら子供できるの?」と0歳なら仕方のない(つーか早すぎるにも程がある)疑問をちなに問いますが、そこでちなちな、
マルチナ「結婚した男女が十月十日の間愛を深め合うと それを認めた海の神マリーヌ様が… 神の魚『コウノウオ』を遣わして赤ん坊を届けてくださ」
ちなちな、お前もかい。16歳にもなって。そこにミトナとうりぽ、まだ子供のソーミャは遠ざけて、
「ミトナはふしぎなおどりをおどった
うりぽはふしぎなおどりをおどった」
「アズリアはこんらんしている
マルチナはこんらんしている」
この表現…最っ高…!!wwwww 流石堀井節は汎用性高い。
翌朝、憔悴しきったアズとちな。なにが起こったかおわかりですね?w 村人の皆さん爆笑。
アズリア「いっ…いっ…一睡もできなかった…」「もう昨日までと同じ目で世の中が見れない~~!!」(ええ~~っ!?じゃあ今までソウラって どういう目でボクのこと見てたんだ~!! 最低っ!!最低っ!!最低~っ!!)
あ、そういう目が最低だと感じられる想像力はあるのね。少し安心。
でも、このエピソードがただのギャグで終わらないのがこのマンガのいいところ。初めて知った世界に様々な疑問が浮かぶアズですが、ソウラの従兄ミュールがこう言います。
ミュール「普通異種族で結婚するのはありえない、異種族の間にはほとんど子供が生まれず、生まれた場合でもその子は幸福な生涯を送れない」(要約)
アズリアにとっては男女の真実より、こちらの方がショックだったかもしれません。想い人のソウラはれっきとしたウェディで、アズは間違いなく人間ではない。それどころか同種がいないかもしれない名もわからぬ種族、結ばれ得ないのを知ってしまいます。
セスリとミトナの婚礼に立ち会って、「命を繋ぐ素敵なこと」と実感し、だからこそ、命の輪の中に入れない自分に激しい劣等感を抱いてしまうアズ。
アズリア(なんだこれ…なんだこれっ!! こんな幸せなことが起こっているのに 一緒に幸せな気持ちで御祝いすることもできないなんて…!なんなんだボクはっ…!! こんな角っ!!こんな角なんて… なんでボクはみんなとこんなに違うの…!!?)
しかしここまで自己嫌悪に陥っても、ソウラへの恋を諦めてないのは流石メインヒロイン。でも、自分が何者かを知らない0歳の子供に、ああいう教育は酷だったのかもな…(ちなちなに関してはミトナさんナイスw)。
アズリアの孤独に寄り添うソウラ(彼はそこまでアズの内心を知りませんが)、彼は死んだ両親の気持ちを考えてます。
ソウラ「父ちゃんと母ちゃんはなんであの時(マルチナと家族が乗っていた船が沈んだ時)命を懸けて誰かのことを助けようとしたのかなって…(略)あの時は… 息子の俺を一人ぼっちにしてもそうしなきゃいけなかったのかなって… 立派な親でも…そういう時くらいちょっとズルしてもよかったんじゃないかなって… 俺のこと…本当に大切だって想ってくれていたのかなって…」
彼の養父母である伯父伯母夫婦は立派な方ですし、従兄妹とも兄妹同然の仲ですが、当然孤独は感じていました。そこにアズは、
アズリア「大丈夫… ソウラのお父さんとお母さんはソウラのことが大好きだったよ…(略)ううん… ソウラを見ているとわかるの…」
アズが感じてること、わかる。養親や従兄妹も、もちろんソウラを懸命に育てたのですが、幼少時両親に十分愛されてなければ、ソウラはこういう人にならなかった。また私見ですが、孤独が彼の心身を鍛えたのだ。そして彼が孤独でも挫けなかったのは、亡くなっていても親の愛に支えられたから、尊敬しているから。
そんな風に、ソウラとアズリアがいい雰囲気になってるところに、マリクたち「太陰の一族」、襲撃。披露宴の最中を襲う暴挙を。しかしイシュマリクたちにも「真の太陽」の末裔たるルシナ村を攻撃する大義はあるようです。
作者の中島諭宇樹先生、今巻で結婚や出産、つまり性について触れたことに、
中島「あくまで中島なりの落としどころであり、プレイヤーの皆さんが解釈にとらわれる必要はありません!」と語り、
中島「ドラゴンクエストシリーズは昔から多様な解釈を受け入れられる懐の深い世界観で語られています だからこそ今までもたくさんのすばらしいコミカライズやノベライズなどの作品が生まれて来たのだと思います」
という模範解答を。ドラクエって設定にこだわりませんからね(ゼルダの伝説ほどテキトーじゃないですが)。キン肉マンに似たよさがある。
追記・最も肝心なことを書き忘れた。
性の問題を不真面目でもえげつなくもなく、しかも逃げずに真正面から少年誌で取り扱った中島先生、大したマンガ家です。旧作であるデジモンのマンガを描いてたあたりから「非凡な人だ」と評価してましたが、今回も流石です。応援してます!
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